自己破産における生命保険契約者の特定

破産手続きを行うときに,財産のひとつとして計上されるものに生命保険解約返戻金があり,この返戻金の請求権は誰に属するのか議論されることがあります。

生命保険契約とは,契約をする一方の者(保険者)が,相手方(保険契約者)または第三者(被保険者)の生死に関し,一定の金額(保険金)を支払うことを約束して,相手方がこれに対して報酬(保険料)を払うことを約束する契約です(商法673条)。通常,保険契約者はいつでも契約を解約し,保険者に対して解約返戻金を請求することができると約款で定められています。

保険契約者,被保険者,出捐者(保険料を支払った者)が同じ人であれば請求権は保険契約者にあることはすぐにわかりますが,例えば,保険契約者と被保険者は子,出捐者は母であり,行為者(この保険契約締結の手続きをした人)も母というような場合は具体的事情が考慮されて判断されます。

 

考慮されるべき要素は以下のとおりです。

①当該生命保険契約の内容(被保険者,保険金受取人,保険金額,保険料,保険期間及びその他の特約等)

②保険料の支払方法及び出捐者

③名義人(保険契約者),行為者及び出捐者の関係,年齢,職業,収入及び生活状況

④行為者の動機,目的及び契約締結手続きの際の言動

⑤保険者及び名義人の認識

⑥届出印及び保管証券の保管状況

⑦契約者貸付の利用の有無,利用がある場合は貸付金の受領者とその使途

⑧配当金の分配方法等

 

先ほどの例の場合で,子が契約をされていることを知らず,また保険証券の管理や保険料支払いが母の口座からされていたりすれば,返戻金請求権は母に帰属するとの判例があります(大阪高裁判例平成7年7月21日※判例は簡易生命保険契約に基づく解約還付金の帰属についてです)。

ただし,母の口座から引き落とされているなど,出捐者が母であることを客観的に証明することができなければなりません。

もしも,名義人である子が生命保険料控除を受けていたり,契約者貸付を利用しているなどの事実があれば,名義人である子は生命保険について認識していることは明白なので,名義人つまり生命保険契約者に帰属すると考えられます

また,保険契約者を特定することが困難な場合は,そのために管財事件に移行する可能性もあるようです。

 

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